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2019年 第8回大理国際写真祭

この夏、中国にて2年に1回開催される中国内で大規模の写真祭、第8回大理国際写真祭が開催されます。

世界中から様々な写真家、ギャラリー、キュレーターが集まり展示を開催するのがこの国際写真祭の見ごたえの一つです。

その中で、上海在中でグローバルに活動するキュレーターの ジョアンナ・フー が日本の若手写真家8名を大理国際写真祭でキュレーションします。

MILA Galleryのオンラインエキシビジョンにて紹介している写真家内倉真一郎を始め、個性豊かな写真家達とのエキシビジョンにご注目ください。

■ 展覧会タイトル

2019 第8回大理国際写真祭
2019 Dali International Photography Exhibition
Hai, Dozo!
——日本影像新世代联展
A new generation of Japanese Photographers

■開催期間 2019年8月17日~8月21日

日本から出展する写真家は以下の通り。

■出展作家※五十音順
岩根 愛・内倉 真一郎・小原 一真・千賀 健史・長谷 良樹・細倉 真弓・三保谷 将史・横山 隆平

内倉 真一郎 は、 作品「Collection」と「十一月の星」の計51作品を出展します。

キュレーター:ジョアンナ・フー

■開催場所:中国雲南省大理市 
TEL:+86-871-6833-2882 
HP: http://www.dipephoto.com/list/id/30378/


以下は、キュレーター ジョアンナ・フー による展覧会へのテーマと趣旨になります。

2019年 大理国際写真祭

—— 次世代の日本人写真家たち

アジア圏の芸術と文化にとって重要な役割を担う日本は、その元号を平成から令和に代え、新しい時代の幕開けに直面している。この時代の変わり目に新世代の写真家たちは彼らの個人的な現状を表現し、また現代に対して写真という言語による返答を試みる。

先の世代の日本人写真家たちは、戦後日本の写真芸術、雑誌「PROVOKE」、そして「ストリートフォトグラフィ」のような写真史におけるキーワードが彼らに国際的な視点を身につける機会を継続的に与えた。このような強固で長い日本の写真文化が日本が他のアジア諸国と比べ特に早期から現代アートにおける中心であるロンドン、テートギャラリーからの注目を得る理由となった。

新世代の写真家たちは1990年からの経済不況の中で成長をし続けている。彼らは経済的に縮小を続け、老化していく日本の中で育ってきた。その結果として労働力不足のような社会問題が生まれ、彼らの祖父母の世代には機能していた生涯雇用制度は維持されることはなかった。その代わり、下落していく物価の中で低い経済成長、貧困と自殺率の増加は人工知能の急成長が人々の仕事にうってかわるであろう厳しい非正規雇用の時代が待つ未来へとつながっていく。このような予め挑戦することを奪われたような閉塞感にさらされるであろう未来への期待はますます低くなるばかりである。日本写真界の土壌の豊かさと厳しい現実の社会は新しい世代の者たちの視点をはっきりとさせたことは紛れも無い事実だろう。

前世代から受けた影響とはなんだったのだろう。リアルな日本の若者たちの現状とは。彼らはどのようにこの社会を見て現在の深刻な状況である現実と向き合い、どのようにして内から湧いてくる感情を受け入れるのだろうか。不安を感じ悲観的になるのか、自分たちの人生のために立ち向かうのか。

今回の展覧会には新世代の日本人を投影する8人の写真家たちー小原 一真・岩根 愛・千賀 健史・細倉 真弓・三保谷 将史・横山 隆平・内倉 真一郎・長谷 良樹ーが取り上げられている。この若い8人の多様性のある作品は彼らがそれぞれの育った場所で感じ、受け止めた日本を私たちの目の前に差し出す。日本の写真出版界は世界的に見て重要な役割を担っており、非常に広範囲で成熟した市場を持っている。例を挙げると、写真家である荒木経惟はこれまでに500冊もの作品集を出版している。この特別な環境の下で若い写真家たちは写真を撮影し、作品集を出版することを写真家としての主たる実績の一つとして据え活動することが可能であり、その世代が持つ独自の表現を構築することができる。2019年大理国際写真フェスティバルに参加する小原 一真、千賀 健史、細倉 真弓らの作品集は頻繁に国際的な写真集フェアで最前列に並び、アルル国際写真ブックアワードやカッセルのフォトブックフェスティバル、写真界の権威、アパチャー財団主催の世界が注目するパリの写真集アワードなどの注目に値する成功をおさめている。

今回の展覧会に参加している写真家たちは新世代の日本を代表する者たちだ。岩根 愛は2019年木村伊兵衛賞を獲得した。細倉 真弓は2011年にアムステルダムFoam Magazine Talent 2011に選出された。日本のキュレーターや雑誌で新星として注目される三保谷 将史はフランス、アルルで開かれたエキシビジョンに取り上げられ、横山 隆平、長谷 良樹は共にこれまでの日本写真界の流れを汲みつつ、新たに独自の世界をも創作している。内倉 真一郎は東京都写真美術館にて展覧会に参加している。

今年2019年は8人の日本人写真家たちはあるテーマについて緻密に観察し、それに向き合う事となる。自分自身、社会的孤立が引き起こす困難から生じる日本社会に流れる情緒、色彩、身体、造形、信仰、アイデンティティ、さらに日米関係だけでなく核実験の歴史への疑問といった多岐にわたるテーマについて彼ら独自の表現を試みる。

このエキシビジョンを通して、私たちは日本写真の今の鼓動を感じることができる。広範囲に及ぶ視点から、2019年のDIPEは視覚言語と文化的なコミュニケーションによる持続的な理解とアジア人としての対話への貢献となる。

キュレーター: 傅尔得 Joanna Fu

ジョアンナ・フー | Joanna Fu | 傅尔得

キュレーター&コラムニスト。華中科技大学ジャーナリズム大学院卒業。近年は仕事で上海に在住。ロンドン、ニューヨークなどグローバル都市を往復。2015年に「肌理の下一台湾近代撮影連合展」のキュレーションとして、大理国際写真祭にて金翅鳥キュレーター最優秀賞を受賞。また、2017年には第2回寧波市国際写真祭でキュレーションをするなど、数多くの雑誌、新聞を手掛け「一個人的文藝複興」を出版。2018年には「肌理之下:一个人探寻台湾摄影 」を出版する。また、台湾Wonder Foto Day審査員を務める。​

official site http://www.joannafu.net

翻訳:Shoki Tapioca

関連リンク:アートジャーニーVol.3 命の逞しさにフォーカスする内倉真一郎の写真の世界